海外旅行中にパスポートが見当たらないと、ホテルを出られるのか、飛行機に乗れるのか分からず焦ります。結論は、安全な場所で短時間だけ確認し、最寄りの日本大使館・総領事館へ連絡したうえで、現地警察への届出と渡航書類の手続きを進めることです。

紛失した場所や国・地域によって窓口、必要書類、所要時間は異なります。帰国便が迫っていても自己判断で空港へ向かわず、在外公館と航空会社の案内を確認してください。

気づいた直後にやる4つのこと

1. 安全な場所で持ち物と移動経路を確認する

まず、ホテルのフロントや空港の案内所など、安全に立ち止まれる場所へ移動します。バッグの内ポケット、衣類、金庫を確認し、直前に利用した店・交通機関・宿泊施設へ連絡します。

盗難の可能性がある場合は、犯人を追ったり単独で現場へ戻ったりしないでください。財布やスマートフォンも一緒にない場合は、カード会社や通信事業者への停止連絡も並行します。

2. 最寄りの日本大使館・総領事館へ相談する

外務省の在外公館リストから滞在国・地域の日本大使館、総領事館または領事事務所を探します。ウェブサイトで次を確認し、訪問前に電話や指定方法で相談してください。

  • 旅券窓口の所在地、受付時間、休館日
  • 夜間・休日の緊急連絡方法
  • 現地警察で取得すべき書類の名称
  • 新しいパスポートと「帰国のための渡航書」のどちらを相談するか
  • 写真、国籍確認書類、旅程などの必要書類

同じ国でも管轄が分かれていることがあります。地図検索だけで決めず、外務省または在外公館の公式ページで管轄を確認しましょう。

3. 現地警察へ紛失・盗難を届け出る

外務省は、警察へ紛失・盗難を届け出て、その届出を立証する書類を受け取るよう案内しています。受付番号、書類名、担当部署、申告日時を控えてください。

言葉に不安がある場合は、宿泊施設に警察署の場所を尋ね、海外で言葉が通じないときの伝え方も使って状況を短く整理します。警察から立証書類を発行してもらえないときは、その場で言い争わず、在外公館へ事情を伝えて指示を受けます。

4. 紛失届と新しい渡航書類の手続きをする

在外公館へ「紛失一般旅券等届出書」を提出すると、紛失したパスポートは失効します。届出後に見つかっても使用できません

その後の移動予定に合わせ、在外公館へ次のどちらを申請するか相談します。

選択肢 主な目的 確認すること
新しいパスポート 旅行を続ける、海外滞在を続けるなど 発給までの期間、必要書類、現在の査証・滞在資格の扱い
帰国のための渡航書 急いで日本へ帰国する 利用できる旅程、経由地の通過条件、帰国便を示す書類

どちらが適切かは旅程と個別事情で変わります。発給時期を一律に「当日」や「数日」と決めつけず、在外公館の回答をもとに航空券や宿泊を調整してください。

在外公館へ持参するものを整理する

現地で困る前に、準備を確認

出発前にやっておくことを、チェックリストで整理できます。

開く

外務省が国外手続きで案内している主な書類は次のとおりです。実際の必要枚数や追加書類は在外公館によって異なるため、準備を始める前に申請先の案内を優先してください。

紛失届で確認するもの

  • 紛失一般旅券等届出書
  • 現地警察が発行した紛失・盗難の届出を立証する書類
  • 規格に合う顔写真
  • 本人確認や滞在資格を確認できる書類

新しいパスポートを申請するときに追加で確認するもの

  • 一般旅券発給申請書
  • 戸籍謄本(全部事項証明書)の原本
  • 規格に合う顔写真

帰国のための渡航書を申請するときに追加で確認するもの

  • 渡航書発給申請書
  • 戸籍謄本など、日本国籍を確認できる書類
  • 規格に合う顔写真
  • 帰国日程を確認できる航空券や予約情報など

パスポートの顔写真ページのコピーや安全に保管した画像、別の本人確認書類は、氏名・生年月日・旅券番号を伝える助けになります。ただし、コピーだけで出入国はできません。

帰国便と査証・滞在資格を確認する

新しい渡航書類が決まったら、在外公館の案内に加えて次の窓口へ確認します。

  • 航空会社: 予約名、搭乗に使う渡航書類、経由地の通過条件、変更手続き
  • 滞在国・経由国の入国管理当局: 紛失したパスポートに付いていた査証や入国記録の扱い
  • 保険会社: 再発行、移動、延泊などで補償対象になる費用と必要な証明書

「帰国のための渡航書」で米国を経由する場合、外務省はESTAを利用できず、米国査証が必要と案内しています。米国以外も通過条件は異なるため、元の予約と同じ経路で帰れるとは限りません。在外公館と航空会社へ確認してから旅程を確定してください。

海外旅行保険の連絡先と補償の見方は海外旅行保険の選び方で確認できます。

出発前にできる紛失対策

手続きを完全になくすことはできませんが、次を準備すると、在外公館へ情報を伝えやすくなります。

  • 顔写真ページのコピーや画像を、原本と別の安全な場所に保管する
  • 戸籍謄本または戸籍電子証明書提供用識別符号の取得方法を確認する
  • 滞在国を管轄する在外公館の連絡先を端末と紙の両方へ控える
  • 航空券、宿泊先、保険の予約情報をオフラインでも見られるようにする
  • パスポートと財布・スマートフォンを同じバッグだけにまとめない

コピーや個人情報の画像は、共有端末や誰でも開ける場所へ保存しないでください。出発前の書類確認は初海外チェックリストにまとめられます。これから申請する人はパスポート初取得の流れも確認してください。

公式情報・出典

まとめ

海外でパスポートを紛失したら、「安全な場所で確認 → 在外公館へ相談 → 現地警察へ届出 → 紛失届と渡航書類の手続き → 帰国便・通過条件を確認」の順で進めます。必要書類や発給時期は滞在先と個別事情で変わるため、最新の在外公館案内に従ってください。

よくある質問

紛失届を出した後にパスポートが見つかったら使えますか?

使えません。紛失一般旅券等届出書が受理されると、そのパスポートは失効します。見つけても出入国には使用せず、届出先の在外公館へ連絡してください。

警察で紛失・盗難を証明する書類を発行してもらえない場合はどうしますか?

最寄りの日本大使館または総領事館へ相談してください。外務省も、警察から立証書類を受け取れない場合は海外では在外公館へ相談するよう案内しています。

パスポートのコピーだけで日本へ帰国できますか?

コピーは有効な渡航文書の代わりにはなりません。本人確認の手がかりとして準備し、在外公館で新しいパスポートまたは帰国のための渡航書について相談してください。

帰国のための渡航書で米国を経由できますか?

外務省は、帰国のための渡航書や緊急旅券で米国を経由する場合、ESTAは利用できず米国査証が必要と案内しています。経由地を含む入国・通過条件を在外公館と航空会社へ確認してください。